誹謗中傷に関する事件が新聞で報道される頻度が非常に高くなってきています。
2013年2月には元毎日新聞の記者が知人の20代女性会社員を誹謗中傷する文書を送り付けたとして、名誉毀損の疑いで逮捕されました。
3月には、栃木県で「町長への中傷メール」を巡り訴訟しない同僚を脅した岩舟町の元職員を恐喝の疑いで逮捕した。この事件は、もともと逮捕された容疑者が町長らを誹謗中傷するメールを送ったとして免職処分となったことが発端でした。
同じく3月、大阪維新の会に属する大阪市議が、自身のブログに自民党市議団へ
「残っているのは公共事業を食い物にしている政治家」
「阿倍野再開発などで吸った美味しい汁を今でも忘れられないアリンコ達」
「自分の生活しか憂いでいない時点で、お前はもう死んでいる!って感じ」
などと書き込み、騒動になりました。
そう書かれた自民党市議団幹部は「あまりにもひどい誹謗中傷だ。きちんと謝罪してほしい」と反発、当該市議はブログの書き込みを削除し、ブログ上で謝罪しました。
いずれもひどい誹謗中傷に関する事件ではありますが、上記の事件はいずれも当事者がかなり明確な事件なんですよね。
誰が書いたかが明確であるため、こうして新聞記事にもなるように当事者をすぐに特定でき、対処できる。
問題は、ネットや掲示板など「誰が書いたか」「なぜそういうことをするのか」が明確でないものが問題になります。
子供の世界でも、誹謗中傷の事象は拡がっています。子供たちの世界では、プロフィールサイトやブログ、ネット掲示板などが、ネットいじめ、非行、犯罪被害などの温床となり、子供たちが被害者にも加害者にもなり得る状況をすでに生み出しています。
各都道府県では、こうした現状を鑑み、名称は各県でそれぞれ違いますが、「青少年ネット被害防止対策事業(ネットパトロール)」等と称して、子供たちの利用頻度が高いサイトを監視する行動を始めています。
これは千葉県のネットパトロールの概念図です。

対策として、書込頻度の高いプロフィールサイト、ブログ、ネット掲示板などに対して、職員2名を配置し、パソコンと携帯電話を使用して
- 自分自身の個人情報の公開
- 他人の個人情報の公開
- 個人を特定した誹謗・中傷
- 飲酒・喫煙等の問題行動
- わいせつ表現(写真等)
の監視を実施。問題のある書込については、報告書を作成し、教育委員会等に連絡し、削除を含めて生徒への指導を依頼するとともに、サイト管理者に削除依頼をするなどの対応をとるなどとなっています。
子供たちの世界では、要注意の書込みは、そのほとんどが顔写真やフルネームの掲載、飲酒や喫煙の記述等ですが、それでも子供たちの世界でもここまでの対策はしないといけなくなっているのが現状です。職員2人ではおそらく早晩限界も来るでしょう。
なかなか手間なことではありますが、「監視」と「情報提供」が今のところ、誹謗中傷に対する早期発見の道しるべといえそうです。